トラッキング現象の再現実験
資料写真「テンパール工業」ビデオより
1.トラッキングとは
トラッキングとは、コンセントプラグなどに溜まったほこりに、湿気が加わり、プラグの両極間で放電が繰り返し発生。これによってプラグの両極間の絶縁用プラスチックが徐々に劣化したところで抵抗熱が発生、ついにプラスチックが発火する現象。
2.火災事故の発生件数(平成11年1月〜9月消防庁発表)
配線器具 740件(1.7%)
電灯電話等の配線 1082件(2.5%)
電気機器 655件(1.5%)
3.疑似トラッキング実験
トラッキングを実際に発生させるには、相当の時間を要する。
(テンパール工業の実験では200時間程度かかったということであった)
従って、短時間の授業中に、その様子を忠実に再現させることは不可能であることから、次の実験を行った。
@ 実験器具
・ブレーカ2個
普通式1個
トラッキング感知式1個
・コンセント2個
・コンセントプラグ2個
・20W球3個
・レセプタクル3個
・1kΩ(1/2W)抵抗器多数
A実験方法
・抵抗器を2個並列に結線し、発火を待つ。
・実験後、ブレーカのスイッチを確認する
B実験結果
・普通のブレーカ
(発火の状態が激しく、発火してもブレーカは切れない)
・トラッキング感知式ブレーカ
(発火するが小さく、すぐにブレーカは切れる)
C考察
・短絡電流が流れる点ではトラッキング現象と同じである。
(プラスチックスの劣化の結果により)
・抵抗器によっては、トラッキング感知ブレーカが切れる現象を得られない。
(1kΩ1/4Wではだめだったことから、抵抗器の吟味が必要である。)
・テンパール工業の実験によると、トラッキングであるとはいえないが、
トラッキングと似た電気波形が出てブレーカーが切られることが判明。
以上のことから、トラッキング現象そのものを短時間の授業中に再現することは難しいが、
トラッキング疑似現象として提示実験するのは意義のあることではないだろうか。